どんめくり

ブロンズ新社

作/やぎたみこ
編集/山縣 彩
2021

上下で分かれたページを、自由に組み合わせて楽しむしかけ絵本。てんぷらどんやかつどんが、ページをめくっていくうちにどんどんおかしなことに…⁉️ 本のつくりとタイトルに、著者のやぎさんのアイデアが光ります。完成した本を受け取った我が家の息子は、父と読んで大盛り上がり!「くくく」「ひひひ」と楽しげにめくっていました。

私がしたデザイン上の工夫は、言葉を基本縦書きにして中央に置き、どんな組み合わせでもスムーズに読めるようにしたことくらいでしょうか。組み合わせを変えたときにお皿からおかずなどがはみでてしまったりしないように、絵を上下で分割して慎重にレイアウトしています。

ページが上下で分かれているというしかけ自体は珍しいものではないのですが、通常その切れ方はまっすぐです。この絵本のようにアールを描いているものは、私は他には見たことがありません。とても製本が難しいため、大村製本さんとブロンズ新社制作チームの間で何度も仕様の試行錯誤が続きました。束見本では小口が一部だけぼそぼそとしていて、「どうしても技術的に解決が難しい」と伺っていたのですが、本番はそんな苦労を微塵も感じさせないなめらかで美しい仕上がりでした。大村製本さんの並々ならぬ努力と工夫がつまった本です。