たまごのはなし

ブロンズ新社

作/しおたにまみこ
編集/沖本敦子
2021

たまごが主人公というのも一風変わっていますが、なにより表紙のこの表情。全てを見透かしているような、それでいて何も考えていない子どものような…。
4歳の息子に読み聞かせをしてみたらゲラゲラ笑い、感想を尋ねたら「めっちゃおもしろかった!」と一言。では、大人の感想はというと、まっすぐすぎるたまごの言動にハッとしたり深く頷いたり、気づけば深みに引きこまれてしまうのです。子どもと大人のどちらもここまで楽しませてくれる作品はそうそうありません。

本文を3色印刷にしたいという出版社からのご希望があり、技術的にどのようにしたら実現するか、しおたにさんや印刷所とご相談しながら進めました。
作品が十分に魅力的なのでデザインでは余計なことは慎み、できるだけストイックでいようと心がけていました。表紙側を黄色、裏表紙側を水色としたのは、たまごの言動に感じる相反する性質を表してみようとしたためです。でも、そんな些細なデザインの話は脇に置いて、とにかくおもしろいですよ、とだけお伝えしたい本です。